「私たちを強くするものは、心の傷み以外にないのです。」
あなたはかつてそう言った。
ではこの僕とは何だろう
苦しく一人投げ出され
どこに何を求めて行けばいいのだろう
胸はただ痛むばかりで
光さえも与えてくれないというのに
永遠が何だというのだろう
僕たちは肉体の虜
観念の渦
心のきざはし
そんなものばかりが頭をよぎる。
夢は僕に何を与えてくれたのだろう。
シモーヌ。
君は今なお僕の胸を掴む
いっそここから空へと飛んで
全てにけりをつけてしまおうか。
僕は憂う。
戸惑う。
この身を案じ、
突き刺す月の光を呪う。
それでもこの恋に向き合えと?
どうかあるがままであることを
そしてこの胸に灯を
あなたのその手で。
その涙で。
憐れな小鹿を包むように。
真夜中。
私はアラレもなくグースカピーに寝ております。
ですが、ふと何かに起こされます。
文字通りのミッドナイトです。
すると、シモーヌという女性に恋い焦がれている詩人が、前触れもなく私の心臓に言葉を映し出してきました。
恋に溺れて朦朧となっているお方には、私が眠っていることなどお構いなしということでしょうか。
それでもワタクシ、ギンチクは彼の苦しい胸の内を一字一句違えることなく必死にメモを録り、句読点の位置まで、彼の伝えるまま忠実に記しました。
苦しくも美しい詩を編むこの方は、少し前の時代の端正な紳士とお見受け致します。
この詩は私宛てではあるまいね?と勘繰りたくもなりますことお許し願いたい。
さて、そんな彼の恋は成就したのでしょうか。
無闇に恋文を託された者としては気になるところであります。
そしてシモーヌという女性の、彼を盲目にするほどの魅力とは如何程のものなのでしょうか。
出来ればあやかりたいものでございます。
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絹井銀竹